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心に残る学者たち(第一回)

オットー・ワールブルグ(1883-1970)
1931年ノーベル医学・生理学賞を受賞したドイツ人
 

彼は自分の研究室で、ただ一人の助手と研究を重ね、身の回りは一人の召使いにかしずかれて、終生独身を通した。
遠くに出かけるのを苦手としたが、乗馬がことのほか好きで、何処に出かけても、出先での朝は必ず乗馬から始まるという奇人であった。
ドイツでは権威のある「カイザー・ヴィルヘルム生物学研究所(後のマックス プーランク研究所)」の所長であったが、またその一方で、終生研究員としての研究をも続けた人である。

では、なぜこの人物が、私と関係があるのか?
・・・後に判ったことであるが、ベンソン教授が私を自分のもとに呼び寄せた理由のひとつは(1963年、私はベンソン教授のイクリプス海洋研究所に招聘された)、ベンソン教授本人の学説をはじめとして、当時の光合成学者の説にことごとく反論するワールブルグの学説が、一体本当に正しいのかどうかを検証させる狙いがあったようだ。

いずれにしても、この孤高の学者「オットー・ワールブルグ」の業績と人柄には、なぜか私の興味をかき立たせるものがあるのである。

※参考書籍:ハンス・クレプス著『オットー・ワールブルグ』(1979年出版)